部室のソファの上で はうっとりとした様子で溜息をついた。






「はぁ・・・もうすぐねぇ」
「何がだ?」
「んま!何が?何がですって!?ちょっと聞きました芥川さん!!」
「うん!聞いちゃったよ 。信じられないねガックン!」
「だな!はぁー・・・まったく跡部はあんな大事な行事を忘れるなんて部長失格だな」






「だから何なんだっつーんだよ!!(怒)」






「「「もうすぐクリスマスでしょーが(だろーが)!!!」」」

















☆ Happy?X’mas ☆

















この3人は実によく息が合う。
いや、思考回路自体が同じ作りにでもなっているのだろうか?






「クリスマスゥ?」

「そうよ!夜な夜な人ん家不法侵入して良い子の枕元に
 プレゼントを置いて去って行くというサンタクロースが来る日よ!!」

「もっと別の言い方しろよ!!」






「もう町中がクリスマス一色だぜ!!」

「そーそー。ジングルベールジングルベール♪数珠がー鳴るーってね♪」

「数珠やなくて鈴や鈴!!」






宍戸と忍足のツッコミが決まる。


訂正しておくが間違ってもサンタクロースは数珠を鳴らしながら不法侵入してくるという不審人物ではない。
その前にそんなことがあっては最早浮かれてクリスマスを祝っている場合ではないだろう・・・。






そんな時、騒がしいメンバーの後ろでドアが一瞬開くと再び
バタンッ!!っといい音を立てて勢いよく閉まった。






「・・・帰る・・・」


「ちょお待てや・・・。3人だけ高みの見物なんていただけへんなぁ」






部室からに漂う空気を感じとった日吉は「関わらない方が身のためだ」と悟り
部室から遠のこうとしたが素早く行動に出た忍足はそんな日吉を逃がすはずがなかった。
敢え無く忍足に捕まってしまった日吉の隣りでは長太郎と樺地が宍戸に捕まっている。






「ピヨシも長太郎もカバジーもいらっしゃいよ!!」
「ピヨシはやめて下さい」
「何の話ですか?」
「クリスマスの予定を決めてるんだよー♪」
「やっぱりパーティーだよな!パーティー!!」
「うん!うん!っと言うわけで24日は跡部ん家でクリスマスパーティーに決定ー☆」
「「イェーイ♪」」
「勝手に決めんなぁ!!(怒)」
「ちなみに全員参加だよー!!」






こうなったらもう止まらない。
忍足と宍戸は3人の暴走とも言えるはしゃぎように疲れたのか、うなだれてハーハーッと息を切らしていた。






「言っとくけどな。俺ん家でパーティーなんて無理だ」


「「「えぇえー!?なんでぇー!!?」」」


「おぉ。そろった」
「見事にハモったなぁ」






「クリスマスは毎年親父の会社がパーティーを開くんだ。俺は息子として参加しなきゃなんねぇんだよ」


「じゃあ跡部の友人ということで私達も「無理だ。」


「じゃあ恋人で「シめられてぇのかテメェは」






「うわぁーん!!忍足ぃー!跡部に傷つけられたわ!!
「なんやて!?女の子を傷物にしたらアカンで跡部!!男の責任とれるんか!?
「テメェも殺されてぇか!!(激怒)」
「落ち着けよ跡部。相手にするだけ無駄だ」






本気でキレた跡部を宍戸が止める。
とりあえず忍足達を止めるのは不可能だと判断しての行動だったと言えよう。






「だいたい来たって面白くも楽しくもねぇよ。
 頭の堅ぇ社長とかが集まってるだけだ・・・息が詰まってしょうがねぇ」

「じゃあ跡部は毎年そのお父さんのパーティーに出てるの?友達とクリスマス過ごしたことは?」
「ねぇよ。今まで1度もな。わかったら諦めろ」






バタンッ!!っと部室を出て行く跡部の姿を全員静かに見つめていた・・・。










12月24日クリスマスイブ。










大企業の社長や契約会社の令嬢などといった人間がわんさか集まっている跡部宅。
そんな中、ビシッとスーツを着こなした跡部はつまらなそうに窓から月を眺めていた。






「つまんねぇ夜だな」






PiPiPiPi・・・。






「あん?」






ポケットの中で鳴り出した携帯電話。
見てみると液晶画面には「 」の文字が表示されていた。






「もしもし?」

『跡部!?今すぐ窓開けて!!』

「はぁ?何で」

『いいから早く!!外見てよ!!!』






ブツッ。






一方的に切れた電話を見つめて跡部は首をかしげながらも目の前にある窓に手を掛けた。






キィッ・・・!!






「なっ!?」






「「「メリークリスマス!跡部ー!!」」」






窓の外にはレギュラーメンバーと が大きく手を振りながらクラッカーを鳴らしていた。






「なんで・・・」
「そんなとこより私達と部室でパーティーしなーい!?」
「もう全部準備してきたんだぜー!!」
「出て来いよー!!」






叫ぶメンバーを見て跡部はフッと吹き出すとネクタイを緩めてボタンを数個外した。










「しょうがねぇな。今日だけはテメェらに付き合ってやるよ」










会場を抜け出すと跡部達はそのまま部室まで走った。
部室にはクリスマス仕様の飾り付けにお菓子、まさにパーティーの準備万端といった感じだ。






「よくここまでやったなぁ・・・」
「すっげーだろ!!」
「そんじゃ!跡部も来たところで・・・」






「「「メリークリスマース!!!」」」






紙コップ片手に氷帝メンバーの声は楽しげに響いた。




















「ギャー!! の作ってきたケーキを食べたら日吉が倒れたー!!」
!お前ケーキに何入れた?!」
「何って・・・苺とクリームとチョコとイカ・タコ・トマト・レタス・・・
「何入れてんだぁあ!!」






「なぁ!ジローはサンタ見たことあるか?」
「ないよ。ガックンは?」
「俺もねぇなぁ・・・」
「サンタ捕まえてみようよ!!」
「おっ!やるか!!」






「えっ?トマトダメだった?言ってくれれば・・・」
「そこじゃねぇよ!!」
「アカン!もはやケーキという名の凶器やー!!」
「テメェら少しは黙れ!!」
「って岳人とジローは何トラップ仕掛けとんねん!!?」










季節は冬。
騒がしい部室の外でフワフワと白い雪が舞っていることにはまだ誰も気付かない・・・。










パーティー翌日。
岳人とジローが仕掛けたサンタ捕獲用トラップになぜだかサンタの格好をした榊が掛かっていて
人数分の靴下の中には榊のブロマイド写真が大量に発見されたという・・・。















Deep Space 音沙制作。(2006.11.25〜12.25)