心の奥深くに眠る 暖かいもの。
思い出すのは思い出
練習を見ていて、気がつくと随分時間がたっていた。もう日が傾いてきている。
テニスをしている跡部君を見ていると周ちゃんと重ねてしまう。
そして頭に浮かぶのは思い出ばかり。
顔も声もうろ覚えのはずなのに交わした会話や態度は自然とあふれてくる。
「ちゃん。あのね、僕がんばってテニス強くなるから。そのときは見ててね!」
「うん。楽しみにしてるね!しゅうちゃんならできるよ!」
「ふふ、ありがとう」
「・・・っ!!」
いつまでも思い出に引きずられてる自分が嫌で、情けなくて、
感情を押し込めようとしたら涙が頬をつたった。
きっと跡部君にも見られてるだろう。みっともないな・・・。
しかし涙は止めようとすればするほど止まらなくなった。
バサッ
「・・・っ!?」
急に布みたいなものをかぶせられ、力強く抱き寄せられた。
「チッ・・・。なんなんだよテメエは急に・・・。早く泣き止め。」
その聞き覚えのある声は跡部君だった。
乱暴な言葉だけど隠された優しさが伝わってきて・・・。
理由も聞かず泣き止むまで傍にいてくれた。
+跡部side
テニスコートで練習していると妙な奴がぶつかってきた。
よく見ると氷帝の生徒。名前は""らしい。
散歩の途中だったのかなんなのか・・・ここに来るつもりはなかったらしい。
練習を見たいと言うので、好きにさせといた。
まぁよく見に来る女ども達と違うことはわかったからな。邪魔になることはないだろう。
そいつの練習見る目は真剣な物で、まっすぐとこっちを見据えている。
しかしその視線は俺に向けられているものではない。他の誰かであることに気づいた。
しばらくして休憩に入ろうかと思っていた矢先、視界の隅に映ったのは下を向いてるだった。
理由はわからないが泣いてることだけはわかる。
気づいた時には自分のジャージをかぶせて抱きしめていた。
「チッ・・・なんなんだよテメエは急に・・・。早く泣き止め」
俺がそう言うと溜め込んでた物を吐き出すように泣き続けた。
が泣きやんだのはそれからしばらく時間がたってからだった。
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やたらと跡部がでしゃばってますがお気になさらず!
私的にこんな跡部が理想ですな。