夢じゃないんだ。







大きくなった背中








私が今居る場所は、氷帝学園のテニスコート





そして今日は・・・周ちゃんの居る、青春学園と練習試合の日。





この間泣き止んだ後、跡部君に周ちゃんのことを打ち明けた。

人にこの話をするのは初めてで少し心配だったけど跡部君なら真面目に聞いてくれるって思ったんだ



一通り話し終わった後、跡部君が放った一言






『会わせてやるよ』








まさかと思ったけど周ちゃんはテニスを続けてるみたいで、

しかも天才と呼ばれる程の実力を備えているらしい。





そして1つ、出された条件。






『そのかわり・・マネージャーになれ』







私は勿論引き受けた。



なんでこんなことを言ったのか理由はよくわからないけど

跡部君にはお世話になったし、何か役に立ちたかったんだ。



マネージャーを引き受けてから少し経って、仕事にも慣れた頃告げられたことは


青学との練習試合。


いきなりで驚いたけど、凄く嬉しかった。


待ち遠しくて、寝つけなかった。







そして今、確かに聞こえるのはボールを打つ音と歓声。



もう青学の人達は着いたみたいでなんだかいつもに増してコートが騒がしい。

仕事をこなしながらちらっとコートを見ると、選手達が集まっていた。






「随分小さい子もいるんだなぁ・・・がっくんみたいで可愛い。」


「なんだよ!1年と比べんなよクソクソ!!」




聞かれてたのか・・!!




「ご、ごめんごめん!!1年生なんだ・・!!凄いね!」


「俺のムーンサルトの方がすげーし!!試合でやってやるからちゃんと見てろよっ?」





ガバッ





「んー・・俺も混ぜてー・・。がっくんばっかずるいC!!」


「うっせーよ!!お前は寝てろよ!から離れろ!」








ふふ・・なんだか癒されるなぁ。

マネージャーしてからメンバーの人達と喋るようになったけど、やりとりを見るのは凄く面白い。

皆と過ごす時間だけは嫌なことも忘れられるんだ。




そんなことを思いながらふとコートの方を見ると目に止まったのは







茶色い髪



小柄な体系



蒼い瞳




優しい微笑みを浮かべている顔









「周・・ちゃん?」









何度も見返した写真に写っていた幼い頃の周ちゃんの面影がある。


もともと整っていた容姿がさらに綺麗になっていて、どこか大人びいていて




ただ違うところは、その笑顔が自分に向けられていないこと。







・・・!!」


「え!?あ。ゴメンがっくん!」


「どうしたんだよいきなり黙り込んで。・・体調悪いんじゃねーの?」



そう言いながらがっくんは私の顔を覗き込んだ。



「大丈夫だよ!いいからがっくんは練習戻って。・・頑張ってね!!」

「おう。じゃあ・・無理すんなよ!!行くぞジロー!」

「んー・・。」




視線を感じ、がっくん達が去った後コートに目を向けると周ちゃんと跡部君が話していた。



そう・・だよね。気づくわけないのに何期待してるんだろう。







今目に映っているのは幾度となく焦がれた人の大きくなった背中。



忘れないように、目に焼き付けておくの。







もしも 願いが叶うというならば



その瞳で私を見て




その声でもう一度、私の名前を呼んで



・・・微笑んで、下さい。








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今回は今までと比べて少し長め・・かな?
読み返したらかなり短かったというね・・!!
修正は難しそうだなぁ・・。