「「「「お疲れ様でしたーっ!!」」」」
部活が終わると共にポツリポツリとコートに雨が落ちてきた。
台風
「うわぁ・・結構降ってきたにゃ〜」
「部活終わった後で良かったね」
青春学園男子テニス部。
部活が終わった直後に降り出した雨はしだいに強くなり、とりあえず部員達は部室に入った。
「あれ、の奴居なくないか?」
「そういえば・・探してこようか?」
そう言ったその時、タイミングよくガチャ、とドアが開いた。
「さささ寒い・・」
入って来たのは、ずぶ濡れのマネージャー。
「!!お前ずぶ濡れで何やってんだよ!さっさと中入れって言っただろ…って」
桃城が何かに気づいたように口をつむぐ。
そう、当然濡れている為…若干ジャージから下着が透けていた。
周りの部員も気づいたらしく目のやりどころに困っている様子であるが、本人は気づく気配が全くない。
「だってドリンク置いてきちゃったんだもん・・。てか、皆なんでそんなに静かなの?
変な物でも食った?あれほど拾い食いはするなって言ったのに・・!メッ!!」
「食ってねぇよ!!それよりお前・・」
桃が何かを言いかけた時、スッと進み出てきたのはリョーマだった。
「……先輩。」
「何?リョマ」
「…これ」
リョーマがかけたのは自分のジャージの上着。
「や!ダメだよ!!リョマが風邪ひくでしょ!!」
「…いいから。早く着て」
「んー・・そう??悪いね。ありがと!」
好意に甘えて小柄なには少し大きいジャージを着る。
「あんまり無防備すぎるとこっちも困るんスよ・・」
「ん?何?」
「…別に」
その後、リョーマはキャップを深く被るとどこかへ行ってしまった。
―
――
――――
――――――――
だいぶ時間が経っても相変わらず止まない雨。
部員達は迎えを呼んで帰る者もいれば、残って遊んでいる者もいた。
「、髪拭いてやるからこっち来い」
「へーい。さんきゅ、ももv愛してるぜ☆」
「おま・・愛してるとか軽々しく使うなよ。ったく・・。世話が妬けるなは。」
「桃は兄貴っぽくて好きなんだよ♪」
「兄貴っぽい、ねぇ・・。確かにお前みたいな妹いたら楽しかったろーな。」
「兄貴」という言葉をまんざらでもなさそうに笑いながら、桃はの髪の毛をタオルでわしゃわしゃと拭いた。
「あ!ドラマが!!」
「は?」
「録画忘れてた!!桃!ありがと!!じゃあね!!」
桃城にそう言い残すと、どたばたと去って行った。
「ぷっ…。台風みてーな奴だな。しっかし兄貴、か。少し複雑だよな。」
そうぽつりと呟いた言葉を聞いて動く影があった。
その頃・・
外に出たのはいいが、傘を忘れた事に気付いた。
「もういい!!濡れて帰ってやる!女は諦めが肝心よ!ファイト自分!!」
「…何やってんの先輩」
「え?あ、ああ、リョマ!!雨乞いよ雨乞い!!」
「…これ以上雨降らせないでよ」
「いいじゃん!!自然の恵に感謝しなさい」
「ったく・・。ほら、帰るよ先輩。傘忘れたんでしょ?」
「・・なんで分かったの・・?エスパーか!?」
「先輩の事だからね」
今度からエスパー越前と呼んでやろう、と思いつつ好意に甘えることにした。
―
―――
――――
――――――――
「でね!!英二先輩と部長のドリンクを乾汁にすり変えておいたんだけど、面白かったよー!!」
「ふーん…。」
一方的に喋りまくるに相槌を打つリョーマ。
「だって泡噴いてt「ねぇ」
「…なに?」
急に真剣な顔をして口を開いたリョーマに圧倒された。
「…先輩って桃先輩と付き合ってんの?」
「え?ああ、桃は幼馴染みであり兄貴なんだよ♪」
「…そ」
そう言ってうつ向いた瞬間、安心したような顔が見えた。
?変なの…。
その後も変わらず喋りながら歩き、しばらくするとの家の前まで来た。
「じゃ、いろいろありがとね!!今度なんか奢るから!」
「ちょっと待って」
「え?」
「傘のお礼、今貰うよ」
――チュッ
「…桃先輩に渡す気ないから。宣戦布告、ってとこかな。それと…」
リョーマが言葉の続きを耳元で囁く。
―…え?
「じゃあね、先輩。ご馳走様」
リョーマはそう言うと妖艶な笑みをに向けた。
「なんなの…」
赤くなりながら唇に残る触感と、囁かれた言葉を思い出す。
『ジャージのお礼…次の日曜日にデートでいいよ。』
次の日曜日、楽しそうに歩く二人の姿を見かけた桃城が落ち込んだのはまた別の話。
---------------------------------------------
かんなり遅れてしまって申し訳ございません・・!!(土下座
えー。リョマ夢でお題が確か「台風」でしたよね?
うん。なんとなく桃VSリョマ風味にしてみました☆
こんなヘボドリでよろしければどうぞ!
では、4000番踏んでいただき有難う御座いました