「ここのリズム教えて!」
「ったく、しょうがないなは。見せてみろ。ここは・・」
誰・・?
moderato
目が覚めるとぼんやり昨日のことがよみがえってきた。
・・私はどこで何をしてきたんだろう。 親は?兄弟は?
必死に思い出そうとしてもやっぱり何も出てこない。
しょうがないのでとりあえず今からどうしようと考えているとガチャ、とドアを開ける音がし、
昨日の男の子が入ってきた。
「オラ、制服だ。じっとしてるよりは学校に行った方がいいだろ。」
男の子はそう言うと制服を差し出す。
「ちょっ・・待って!が、学校っていってもそんないきなり・・。」
「アーン?俺様も一緒だから心配するな。」
「心配するなと言われても・・!!ていうか一緒なんですか・・。」
「俺と一緒じゃ不満なのかよ。それより名前ぐらい教えろ。」
あ・・そういえば自己紹介もしてなかったんだ。
私の名前・・。
ふと、夢を思い出す。
「。」
顔は思いだせないけど懐かしくて、安心する声。
なんだか胸が締め付けられる
誰なのかな・・いつか思い出せるといいな。
、か・・。そうだ・・思い出した。名字は・・。
「・・。」
「・・・ねぇ。」
その男の子はそう呟くと複雑な顔をした。
な・・なんか悪いこと言ったっけ?私・・。
気になったものの、聞くに聞けなかったので会話を続けた。
「あなたの名前は?」
「俺は跡部景吾」
「跡部・・君」
「景吾でいい。」
「け、景吾・・。」
なんだかよくわからないけど恥ずかしさが込み上げる。か、顔が熱い・・!
そんな私を見て笑いつつ、景吾は話を進めた。
「で、これからどうするかだ。学校に行かない訳にはいかねぇだろ。急にとは言わねえがな」
学校・・確かに義務教育は終わってないし、行くべき、だよね・・。
「わ、わかった・・。行く!けど、明日からでいい?」
「あぁ、構わねぇ」
「ありがとう」
その言葉を聞いて少し安心した。
やっぱりいきなり今日からなんて無理だ。
心の準備も出来てないし・・なんか・・怖い。
+
「榊先生、そうゆうことなんで・・。マネージャーを推薦します。ただ・・」
「ああ、わかっている。こちらに任せなさい。」
「・・・お願いします。」
歯車が少しづつ動き出す。
動きを止めるのも速度を速めるのも許されぬように、ゆっくりと。