今日は学校へ通う日。





tranquillo<穏やかに>










新しい制服に身を包み、車に乗りこむ。
景吾はテニス部の部長らしく先に行くと言っていた。


氷帝・・かぁ。どんなとこかなぁ。


昨日は不安でなかなか眠れなかった。
ちゃんと友達できるといいな・・。

いろいろと考えているとあっという間に学校に着いた。
職員室に入ると、クラスの担任らしき先生が近づいてきたので、挨拶をして雑談をしつつ
一緒に教室へ向かった。



















「ちょっと待てて」


そう言われ、教室のドアの前に立って高まる鼓動を落ち着かせていると数分後、
先に教室に入って話をしていた先生に手招きされた。


「じゃあ、簡単に自己紹介してね」


とにっこり微笑んで言われた。


き、緊張する・・。噛まないかなぁ。


です。よろしくお願いします!」


皆の視線を感じて赤くなりつつ、必死に声をあげた。
口々に「よろしく〜」と聞こえてきて、それだけで嬉しくなる。
席は・・景吾の隣だった。



休み時間になるといろんな子が話かけてくれた。



「どこから来たの?」

「兄妹とかいるの??」

「誕生日教えてー!」




ど、どうしよう・・。




「え、えっと・・」


どれも答えられなくて焦っていると、「ちょっとこいつ借りるぜ」と声がし、
黄色悲鳴が起こる中景吾に腕を掴まれ、違う部屋に連れていかれた。




「・・ここどこ?」

「部室だ。」

「ふーん・・って・・え!?」



周りにはソファーやパソコン。とても部室には見えない。
驚いて周りを見渡している私を見つつ、景吾は口を開いた。



「それより、本題に入るぜ」

「うん。何?」

「テニス部のマネージャーになれ」

「・・はい?」

「他に部活入る気でいたのか?」

「いや、ないけど・・」

「ならいいだろ。監督には話してあるからとりあえず明日からよろしくな」

「う、うん・・」



なんで景吾がそんなことを言ったのかはわからなかったけど、役に立てるなら
いいかなって思った。



その時は軽い気持ちで受け入れたんだ。





この先何が起こるかなんて予想もせずに。